この記事はVirt A Mateで追加データをインストール・管理するための「Packageシステム(AddonPackages)」について解説します。
Packageシステムの概要
VaM1.19.0で追加されたPackageシステムによって、ユーザーやクリエイターは以前より容易に追加データを導入・管理することができるようになりました。
以前は外部ファイルを直接VaMのインストールフォルダに配置して読みこみを行っていましたが、Packageシステムでは、圧縮ファイル「.var」を専用フォルダに配置するだけで追加データをインストールすることができます。また、VaMのアプリケーション内で各追加データの有効化・無効化・削除などの操作を行うことができます。
varファイル
VaMHubで配布されている「.var」という拡張のファイルは、Packageシステムのパッケージファイルです。このファイルは「.rar」形式で圧縮されたファイルで、中に追加されるデータ一式が入っています。
rarの解凍ソフトあるいはVaM内の機能で解凍でき、例えばテクスチャを書き足したり、プラグインのパラメータを好みの数値に書き換えたりできます。ただし、中身のファイルを別途配布するのは作者の著作権を侵害する行為になるので注意しましょう。
配置ディレクトリ
「VaMルートフォルダ\AddonPackages」が配置場所になります。1.20以降はVaM本体をインストールした時点でいくつかのvarファイルがインストールされているので、そこに追加していくイメージになります。
VaM本体での操作
メニュー内の箱のマークがPackageシステムのメニューボタンです。上がインストールしたPackageを管理するシステム「Package Manager」呼び出しボタンで、下はクリエイター用のパッケージ構築システム「Package Builder」呼び出しボタンです。
Package Manager
Package Managerは、AddonPackagesに配置したvarファイルを管理するシステムです。
各機能を解説します。
Installed Packages
ここにインストールしたPackagesが一覧されます。すべてのパッケージが羅列されるのでたくさんパッケージを追加するとお目当てのパッケージが探しにくくなります。左側のカテゴリーで絞り込みましょう。
右上の「Rescan Packages」ボタンで、起動中に配置したvarファイルを読み込むことができます。ただしmorphを含んでいる場合、morphのみインストールされないので、再起動やHard Resetをする必要があります。
Package名の命名規則
命名規則というか自然とそうなるのですが、Packageの名前は「作者名.パッケージ名.バージョンナンバー」となっています。
Packageの有効化・無効化・解凍・削除
有効化・無効化
PackageManager右上の「Enabled」チェックボックスのチェックを外すと、そのPackageが読み込まれなくなり、リソースの節約ができます。
無効化したパッケージはShow Disabled Packagesにチェックを入れて表示します。
解凍(Unpack)
Packageを解凍するボタンです。ボタンをクリックすると注意分が表示されます。
日本語訳:
VARを解凍しますか?
メリット:コンテンツを使用する際のロード時間が短縮されます。コンテンツを編集できます。
デメリット:コンテンツを変更すると、そのコンテンツを参照しているものが壊れてしまう可能性があります。編集時には注意してください!より多くのディスク容量を使用します。
解凍したデータはAddonPackagesに生成されるので、そのままではファイルマネージャーからのアクセスが遠回りなります。VaMのフォルダはできるだけクリーンな方が後々楽なので、必要なファイルだけ再配置しましょう。(例えばテクスチャだけ編集したいなら他の生ファイルは削除し、パッケージから読み込めば良い)
削除
Deleteボタンを押すことでパッケージを完全消去できます。
Package詳細情報
Package Managerの右半分はInstalled Packages画面で選択したパッケージの詳細情報が表示されます。
Infoタブ
1段目 : Description
パッケージの簡易な説明が書いてあります。
2段目 : Credits
パッケージの中身のデータの著作者の情報が書いてあります。
3段目 : Instructions
インストールしただけでは基本的にPackagesは機能しないので、呼び出し方などの導入方法が書いてあります。
4段目 : PromotionalLink
作者のPatreonなどのプロモーションリンクが書いてあります。
5段目 : License
パッケージのライセンスが示されています。各ライセンスについては後述します。
6段目 : Contents
パッケージに含まれるそれぞれのファイルの階層が表示されます。
6段目 : References
このパッケージが依存している(データを利用している)別のパッケージがある場合、その一覧が表示されます。
ここに示されたパッケージをすべてあらかじめインストールしておかないとパッケージが正しく機能しません。
VaMHub上では「Dependencies」という名前で示されます。
User Pref
ユーザーが自由に書き込めるメモ欄と、Morphを含むパッケージのMorphを、パッケージをロードせずに使うかどうかのチェックボックスがあります。
ライセンス
VaMコミュニティではデータのやり取りが盛んに行われていますが、手に入れたデータには当然作者の著作権があります。それを保護するのがライセンスです。
ライセンスという概念に触れるのが初めてな人に向けて説明すると、ライセンスとは「本来は他人の知的財産を利用することは全て著作権侵害なんだけど、それだと使い物にならないから、一部許可できることを明記しとくよ」と、作者が定める許可の範囲です。
クレジットという言葉が出てきますが、これは「作者および権利者の名前を記す」ことを意味します。
なお、筆者は法律家ではないので、以下の内容に基づいてコンテンツを使用して何らかの被害を被ってもいかなる責任も負えません。
各ライセンス解説
PC
Paid-Content(有償コンテンツ):配布、リミックス、改変、同梱できない。
これはvarファイル及び中身のデータに関するもので、例えばスクリーンショットやキャプチャをシェアしたり、SaveとしてのLook(.json)を配布することなど、完全に元データにアクセスできない場合であれば普通に使えます。
ただし、それすら許可されていないこともあるかもしれないので、詳細は作者の注意書きに依存します。
PC EA
PC EA-Paid Content Early Access(時限有償コンテンツ):EA (Early Access) 終了日までPCとして扱い、その後は第2ライセンスに移行します。第2ライセンスは作者が設定するので、コンテンツに応じます。
Questionable
権利者不明のライセンス(?)。配布すべきでない。
FC
再配布や改変、商用利用も可能でクレジット不要。
これより以下はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスというインターネットで広く利用されているライセンスです。
CC BY
作品を配布・改変するにあたり、著作権者の表示を要求する。商用利用可能。
BYは表示の意味で、クレジット表記を必須とするものです。
CC BY-SA
作品を配布・改変するにあたり、著作権者の表示とCC BY-SAのライセンスを継承を要求する。商用利用可能。
SAは継承の意味で、元の著作物と同じライセンスで公開することを強制するものです。
CC BY-ND
作品を配布にするにあたり、著作権者の表示を要求する。商用利用可能。改変禁止。
NDは改変禁止の意味です。SAの表記はありませんが、そもそも改変禁止なのでライセンスも改変してはいけません。
CC BY-NC
作品を配布・改変するにあたり、著作権者の表示を要求する。商用利用不可。
NCは商用利用不可の意味です。ただし、コンテンツの中に含めることが禁止という意味です。
商用利用という言葉は法律上に存在するわけではなく、定義は完全に明快ではありません。極端に言えば、利益が発生するなんらかのものに絡ませたら商用利用と解釈される場合もあります。
例えば、あるCC BY-NCの髪型があったとして、自分のPaid Lookに使用したいとします。
自分のPaid Lookは髪型を含めず販売し、髪型を作者を明記した上で別個配布し、Appearance Presetsのデータを無料で配布した場合はどうなるでしょうか
答えは「作者の判断に拠る」となります。必ず作者に聞きましょう。
VaMでは暗黙的にPaid SceneのDependenciesとして表記したり同梱したりしても咎められてない印象がありますが、それは許可をとっているからかもしれませんから、繰り返しますが必ず確認しましょう。
CC BY-NC-SA
作品を配布・改変するにあたり、著作権者の表示とCC BY-SAのライセンスを継承を要求する。商標利用不可。
CC BY-NC-ND
作品を配布するにあたり、著作権者の表示とを要求する。改変禁止。商標利用不可。
ライセンスは基本的にクリエイターに関係する部分ですので、ユーザーの立場としては、とにかく不用意に配布しなければ、作者の権利を侵害することはないので安心してくださいね。
まとめ
Packageシステムのおかげで、今まで以上に追加データの管理がしやすくなりました。ユーザーが作った追加データにここまでフレンドリーなのはVaMの魅力の一つですね。
権利関係などを明確にできるし、プロモーションもできるし、クリエイターにとっても非常にありがたい機能です。